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Open your eyes

詩、小説、エッセイ、なんでも by チノ シチリン

少女へ

だれにも会えない

だれにも言えない

自分だけが悩んでる。


彼女は全てが上手く行ってそうで

祝福しながらどこか、

ぎこちないわたしがいる。


知らない所で苦労してるかもしれないし

なんて 考えたって

わたしに、彼女の苦労は分からないし

彼女にも、わたしを引きずる泥は見えるまい。


分かって欲しいと思わないけど

じゃあどこにぶつけたらいいの?って

ひとりで悩んで

もう腰まで浸かってる。


つかまるものを探しては

触れた瞬間無くなっていく。

この泥沼みたいに鈍くて重い自分は

なんの役に立つの?って

聞いても答えは

大人になる自分しか知らない。


子供なんて

早くやめてしまいたい

叶えたくても

願っていても

理解していても

どうして上手くいかないの


たくさんの痛み苦しみを

感じて 感じて

感じ抜いて、

あなたはここにいる。


わたしは知ってるよ。

悩むほどに

全てに対して繊細なひとで

心が優しいのだということを。


だから

いまは苦しくていいの。

大丈夫だよ

わたしはあなたをずっと見守る。

大人になるまで

一緒に歩いていくのよ。

恋とわがまま

Poems

もっと近づきたい。

だけど

まだ離れていたい。

心臓の音が聞こえたら

バレちゃうから。

 

ずっと見ていたい。

だけど

そんなに私を見ないでよね。

恥ずかしくて

どうしたらいいのか 分からなくなっちゃうから。

 

あなたという存在を手に入れたい。

だけど

それより先に 手に入れて欲しい。

あなたしか知らない、

特別な私を。

別れを美しいと呼ぶのは

Poems

どうして「ありがとう」って

嘘をつけるんだろう。

どうして「ごめんなさい」って

思ってないのに言うんだろう。

 

いつから「好き」が

喉でつかえてしまったんだろう。

 

プラスチックの板に言葉を書いて、

渡して、そののまま下がって

知らんぷりしてる。

 

中身はないけど

汚れがなくて

それっぽく、ご立派なものだから

お互い満足できたと思ってる。

 

だけど

後で虚しくなるのはどうして。

言葉がこんなにも安く使えるなんて

「嫌い」と言ってしまうより、汚い。

 

相手を傷つけないフリして

見えない酸で溶かしてる。

わたしの喉と、あなたの胸を。

 

好きとか嫌いとか

子供の頃のほうが言えたよね。

砂を投げつけならがら、

大嫌いだと泣き叫んだ。

それがすべて正義なのだと

全身で感じてた純粋のかたまり。

 

「さようなら」

耳元で通り過ぎていって

自然に過去と現実が身体に馴染んでいくのが

きっと正義なのかもしれないって

思うようにしてるわたしは、

別に大人になったんじゃなくて

ただただ 怖いものが増えただけ。

 

ひとはそれを刹那と呼んだりするけど

形が見えないからこそ

怖く、深く、繊細に、身体のどこかに残り続ける。

 

美しくありたい。

そんなものさえ、

愛おしいと想うひとになりたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

青い春のわたしよ

Poems

あなたの眼に写るわたしは

ぜんぶじゃないし、

一部だけでもない

わたしはぜんぶ見せたいのに

どこもかしこも、

可愛く走り回る姿も

汚く這いつくばる姿も

れいごとを本気で語る姿も

悪態つく最悪な姿も、

すべて知って

それでも好きだよと言って欲しい。

それなのに

誰かがそれを邪魔をする。

その誰かは、紛れもなくわたしだ。

 

見て欲しい知って欲しいと言う

エゴの塊みたいな醜い荷物を

あなたにプレゼントだよって押し付けて

嫌な顔されるのを勝手に想像して

やっぱり怖いから

錆びた刃のような言葉投げたり

好きじゃないフリをなんかを

気付かないフリなんかを

してしまうのは

紛れもなく、

臆病で無責任なわたしだ。

 

 

そんな汚れたテーブルクロスの先を

ちょんと摘んでくれるあなたは

いつだっていじわるなくらいに

私の心を、欲を、愛への渇望を離さない。

お願いだから

それ以上は引っ張らないでね。

だけどやっぱり

この机から引き剥がして欲しい。

連れて言ってよ、どこまでも。

 

 

風になびいて

走っていれば乾くから

汚れた部分は

景色に紛れて分からないから。

気が付いたら、

あ、汚れてるね、模様かと思ったよと

笑ってくれるあなたがいる。

わたしも、バレちゃって照れ笑い。

 

 

何層にも重なる赤い夕日が見える。

それはやがて美しい模様になる。

あなたが摘んだ先には

変なシワができている。

暗がりで撫でると

線を感じる。

何本あるのか、どんな形なのか

分からない線が無数に伸びる。

それは、愛の数だよと

最後は星が教えてくれるのです。

 

 

あの星のひとつになるまで、

黄ばんでシワくちゃになって

何の役立たなくなったとしても

君は美しいよと愛してくれるのは

尊い、という、

あなたの最高の存在になれた証。

 

 

あの頃の悩み苦しみはなんだったのか

いったいなにに、

怯えていたのか。

わたしはあなたを愛している

ただそれだけで世界は良かったはずで、

あなたはわたしの心配をよそに

初めっから、両腕で抱えてくれていた。

それに気付かないわたしの若さは

愛と苦しみという、

現実には映されないのに

真実として身体全体に広がる物質を作り、

そしてそれは

永遠に過去の塵となって

消えずに胸の箱の中に積もっている。

もう開ける必要はないんだよと

ひっそり光を瞬いてる。

 

 

誰かを愛するって、

その素晴らしさと難しさは

言葉に出来ないなんて。

辞典は、ネットは、

友人は、先生は、家族は、

教えてくれなかったよ。

 

こんなにもわたしを呪って

それでもバカみたいに夢を見て

いつか、いつか、たどり着けますようにと

泣いたり笑ったりしながら

跪いて、あなたのこと祈るなんて

どうかしているよね。

跪いて、あなたのことを祈るなんて。

 

 

嗚呼、

青い春のわたしよ

どうか、祈ることをやめないで。

いつか辿り着いたわたしは

そんなわたしのことを祈ってるから。