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幸福とは何かを考える


三浦綾子さんの小説が好きで堪らないので、

気に入っている部分を抜粋していこうと思います。

 

『氷点』は(ネタがバレぬよう簡潔に説明すると)娘を殺した犯人の子が、不義の間に生まれた子であり、さらに犯人の子扱いされながら育ったという事実を知る話。巻き込まれる家族や友人、恋敵たちの愛憎を描く大作です。

 

陽子「そうよ。いい親といい兄よ。でも、本当の人間の幸福って、結局は自分自身の内面の問題だと思うの」

幸福そうなこのひとには、わからないかもしれないと陽子は思った。

順子「それはそうね。生きる意義というか、目的というか、それがつかめないうちは、空虚よね。虚無的よね。虚無とは満たされてない状態ですもの。幸福感がないのは当然よ」

意外な順子の言葉だった。

「順子さんは満たされていて?」

「今は満たされてるわ」

「じゃ、あなたも不幸なことがあったの」

「あったわ。不幸を知らない人には真の幸せは来ないわ。ね、陽子さん、わたしね、幸福が人間の内面の問題だとしたら、どんな事情の中にある人にも、幸福の可能性はあると思うの」(『続氷点・上』)

 

”幸福”について数年間考え、色々な文献を読み漁った結果、「幸せは自分の心が決める!」「人生は選択の連続だ」など、言われればまぁそうだなというトピックに収まっていた。

 

それは21世紀の課題と言ってもいいくらい、自己啓発が流行りだした世代、つまり「人々が幸福や不幸、自らについて考える時代」が来ているということでしょう。

 

愛や憎しみ、人間とは何ぞやという哲学議論が巻き起こった古代ギリシャ時代が再興しているような気もする。

 

(貧富の差はあれど)先進国では経済的・物質的に豊かになった反面、過労死の危険が叫ばれ、少子化による核家族増加と育児教育問題など不安な将来ばかりが目につく。

 

女の幸せとは?

子供の幸せとは?

家族の幸せとは?

自分の幸せとは?

 

三浦綾子さんの小説にはかなりストレートに載っていた。

いつの時代も、問題は全く変わっていないということに驚かされるばかり。

 

なんなら、綾子さんの執筆ベースとなっているキリスト教聖書は、旧約だと4000年近く前に書かれていることになる。

 

欲深さや弱さについて変わらないあまりに、文明とは相反して進歩していない人間が可愛らしくも思えてくる。

 

噛み砕いて言えば、私たちの”クズ”な部分を受け入れた上で、”クズ”同士が上手く関わって生きていくにはどうしたらいいのか?みたいな(笑)

 

そういう胸にグサりと刺さることが綾子さんの小説には綴られているから、ページを捲る度に脱帽してしまう。


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ところで先日、慶応義塾大学のキャンパスで開かれた「幸福学×経営学公開講座にお邪魔しました。

 

ホワイト企業大賞企画で、100名前後のはずが300名以上の応募があって、急遽会場を大きくしたんだとか。

 

開催スピーチをされた、元ソニー上席役員の天外伺朗さんも、「幸福について考える人が増えた時代になったと実感する」と仰っていた。不思議で面白いことです。

 

会社における(社員の)幸福とは何か?

経営とどのように絡めるか?という論点を科学的に論じる内容でした。

 

やれプレミアムフライデーだの女性の管理職雇用率アップだの、形から入ってみて修正するという方向も間違ってはいないと思うけれど、時間を短くしたり役職を与えればいいという問題では、決して無いように感じる。

 

現実に起きている問題として、現管理職世代が抜ける時代にならないと、日本全国の男尊女卑やハラスメントは解消しないような気がする。

 

なぜなら今からそんなに上手くいっている知り合いを、私は見たことがない。

 

幸い自分の勤め先は、男性ばかりの実力主義社会にも関わらず差別性を感じたことはかなり少ないですが、スピークアップ制度も上手く使えず悩んでいる他社の真面目な知り合いは多い。または文句だけ言って投げやりになってしまっている。

 

 「幸福かどうかは自分の内面の問題だと思うの」という陽子の言葉から考えさせられるのは、人間の性質は昔も今も変わらないけれど、時間をかけてシステムを変え、人々の意識を変えていくことは出来るんじゃないかということ。


ただ型にハメればすぐに出来る訳ではありませんが、一つの軸として、問題があれば修正する。文句言って甘ったれてる場合じゃない。

 

人生を、投げない。

 

人生のほとんどを費やす仕事活動の中で、幸福を感じられるような状態の要素を追求していくことは、これからの時代とても重要でしょう。

 

まだ企業人としてはヒヨっこなりに、課題解決に精を出していきたいと思います。