〜 Like a journey 〜

旅するエッセイといろいろ

別れを美しいと呼ぶのは

どうして「ありがとう」って

嘘をつけるんだろう。

どうして「ごめんなさい」って

思ってないのに言うんだろう。

 

いつから「好き」が

喉でつかえてしまったんだろう。

 

プラスチックの板に言葉を書いて、

渡して、そののまま下がって

知らんぷりしてる。

 

中身はないけど

汚れがなくて

それっぽく、ご立派なものだから

お互い満足できたと思ってる。

 

だけど

後で虚しくなるのはどうして。

言葉がこんなにも安く使えるなんて

「嫌い」と言ってしまうより、汚い。

 

相手を傷つけないフリして

見えない酸で溶かしてる。

わたしの喉と、あなたの胸を。

 

好きとか嫌いとか

子供の頃のほうが言えたよね。

砂を投げつけならがら、

大嫌いだと泣き叫んだ。

それがすべて正義なのだと

全身で感じてた純粋のかたまり。

 

「さようなら」

耳元で通り過ぎていって

自然に過去と現実が身体に馴染んでいくのが

きっと正義なのかもしれないって

思うようにしてるわたしは、

別に大人になったんじゃなくて

ただただ 怖いものが増えただけ。

 

ひとはそれを刹那と呼んだりするけど

形が見えないからこそ

怖く、深く、繊細に、身体のどこかに残り続ける。

 

美しくありたい。

そんなものさえ、

愛おしいと想うひとになりたい。